(平成23年02月15日)
裏山の雪景色

この日の早朝は白雪が舞い裏山は美しい雪化粧と化した。
朝5時に目を覚まし、まだ誰も足を踏み入れていない裏山に向かった。
10センチほど積った新雪をサク、サクという音を鳴らしながら、やや大きめの人間という動物の足跡を残しつつ一歩一歩山頂を目指して歩みを進めた。

自分が真っ先に踏み入れる白銀の世界に、感動を持ち得ない人などいないと思う。
そこには芸術を超えた世界が現出しており、人間が絶対に創造することのできない美の極限がある。
これは、大いなる存在が創造した私たちへの贈り物であり、まさに宇宙の生命の姿そのものである。

でも、その美しさを維持できるのは一瞬であって、それを保ち続けることはできない。そこにあるのは無常の世界そのものである。
あれだけ美しい景色が日の出とともに失われていく。最も美しかった美の頂点はほんのひとときで終わってしまう。
それは、美しかった女性が年とともに老いていく姿にも似ている。(他意はない)

これから始まる新緑の美しさも、少し前にあった目を見張る紅葉の美しさも、ともに宇宙の生命の姿であり、これは時とともに失われていく美しさである。

でも美しさが消えていく時、その景色は我々の心に深奥で霊的な情感を告げる。
私はそれを聞き逃さないように、野生の野獣のように全神経を集中させる。
その時涙が止めどなく流れだすのである。

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